おもしろすぎる東大英語読解

私が大学受験の英語を教えるようになって37年になります。その間、かなりの数の長文読解問題に触れました。全くつまらないものもあれば、思わず引き込まれるものもありました。

近年、情報処理能力とやらが重要視されるようになり、入試の英文から小説が次々と姿を消していきました。

一昔前までは、センター試験の長文問題は小説で、2002年追試第6問のような、なかなか味わいのある文章が出題されていましたが、今では無味乾燥な評論文です。

「入試の英文がつまらない!小説の復活を!」

声を大にしたいところです。

そんな状況の中で、最後の砦とでも言うべき存在が東大の第5問です。東大もたまに評論文を出題しますが、基本は小説です。しかも、たかだか700~1000語程度の長さにしてはよくできた話が多い。東大の日本史がディープだと話題になったことがありましたが、なんのなんの、読解問題も負けずに深~いのです。

評論文と違い、小説は行間を読む必要があり、日本語の読解力が求められます。東大は英語以前に、母国語の読み書き能力を要求しているのです。それが受験生の知能に直結するからでしょう。

そんな東大も、受験生の読解力低下のためか、ここ十年あまり面白い話がありません。そこで、古き良き時代を偲びつつ、過去の問題から私のお気に入りの話を取り上げ、隔月で連載していきたいと思います。面白いだけでなく、東大読解問題攻略の手助けとなること間違いなし。

個人的な感想を勝手に書き連ねますけれども、あくまでもオマージュであることを強調したいと思います。予備校なんかではこのような問題は逆立ちしても作れません。東大入試課のみなさま、笑ってお見逃しください。そして、これからも予備校講師をあっと言わせる問題をお作りください。

 

 

 

FORUM-7 ジーナス代表          河村 一誠