大学入試(英語)、コレが出る!!! その1

受験生の大きな関心は、目指す大学にどんな問題が出るのかということでしょう。過去問を通して、出題傾向を探ることは重要です。でも、大学側も過去の出題から受験生が簡単に予想できるような出題はしません。

塾や予備校には『○○大英語』と銘打った講座を置くところも少なくありませんが、たとえば一口に早稲田英語と言っても、早稲田には学部が14もあるのです。これが早慶になると24学部になり、早慶なら学部はどこでもいいという人は共通した出題傾向を見つけ出せず、途方に暮れてしまいます。

では、大学入試に共通した出題傾向はないのでしょうか?

実は、有名大学に限れば、1つだけあるのです。

次の問題を見てください。

 

問 空所に補うのに最も適当なものを①~④の中から1つ選びなさい。

 

1 My sister was not a serious high school student, and (   ).

① either I was  ② either was I  ③ neither I was

④ neither was I   (センター試験)

 

2 Tired (   ) she was after her long trip, Yumiko was unable to get any sleep.

① as  ② since  ③ so  ④ still (立教大学)

 

3 Never (   ) such a bad thing to my parents.

① being said  ② have I said  ③ I have said  ④ to be said

(立命館大学)

 

4 (   ) she taken the teacher’s advice, she could have passed the exam.

① Scarcely did  ② If only  ③ Had  ④ Only if (東洋大学)

 

5 I’d like to rent my own office, (   ) small it may be.

① even if  ② however  ③ no matter  ④ whatever

(日本女子大学)

 

 

これらはどれも頻出文法問題ですが、共通点があります。

それは語順の変化の代表である倒置形だという点です。

英語と日本語の大きな違いが語順だとよく言われます。語順が重要だから、語順の変化はさらに重要で、あらゆる有名大学の出題の核となっているのです。

読解問題についても全く同じことが言えます。東大、京大といった難関国立大学では強調』『倒置』『省略が三大テーマですが、これらもすべて語順が変化します(『大学入試、コレが出る!!!その2』をご期待ください)。

英語の学習ではいつも語順と語順の変化に注意してください。そうすれば、どの有名大学を目指していても、ハズレはありませんから。

では、解答・解説をつけますので、じっくり理解しましょう!

 

1 正解 ④

英語は同じ単語の反復を嫌います。

たとえば、「メアリーは大学生だし、マイクもまたそうだ」を、Mary is a college student, and Mike is a college student, too.と表現すると、同じ文中でa college studentを二度使うことになります。そこで、Mary is a college student, and so is Mike.

「~もまたそうだ」はSo be動詞(助動詞)~. 前文が否定文で「~またそうではない」はNeither(Nor) be動詞(助動詞)~.どちらも、So[Neither, Nor]のあとが疑問文の語順になります。

My sister was not a serious high school student, and I was not a serious high school student, either.(妹(姉)は真面目な高校生ではなかったし、私もまたそうではなかった)→ My sister was not a serious high school student, and neither was I.

norは等位接続詞なので、andのあとには副詞のneitherを使います。このように、品詞の意識も英語と日本語の大きな違いです。

疑問文が語順に関する英語と日本語との最大の違いです。語順の変化(倒置形)の基本が疑問文の語順であることを肝に銘じましょう。

 

2 正解 ①

 

従属接続詞のasには時、理由、様態などいろいろな意味がありますが、譲歩を表すときは、動詞に続く、形容詞、名詞、副詞を文頭に出さなければならず(名詞は冠詞が省略されます)、語順が変化します。

Although she was tired after her long trip, Yumiko was unable to get any sleep.(疲れていたけれども、ユミコは全く眠れなかった)

≄  As she was tired after her long trip,

= Tired as she was after her long trip,

 

3 正解 ②

 

ある単語を強調する場合、いくつか方法がありますが、強調したい単語を文頭に出すのが典型的なやり方です。最初に目に入る単語が最も印象的だからです。これだけで語順は変わりますが、さらに強調された単語に続く語順も変化し、これを強調倒置と呼びます。強調倒置の中でも、never, only, littleなど否定の副詞の強調倒置は語順の変化の王様とでも言うべきものです。

I have never said such a bad thing to my parents.(私は両親にそんなひどいことは一度も言ったことはない)

この文のneverを強調して文頭に出します。そうすると後ろは疑問文の語順に変わります。

Never have I said such a bad thing to my parents.

 

4 正解 ③

仮定法の条件を表わす従属接続詞のifは省略できます。だだし、必ず疑問文の語順に倒置しなければなりません。

If I were an American, I wouldn’t have to study English.(もしアメリカ人なら、英語を勉強しなくていいのに)このIfを省略しますと、

Were I an American,になります。

ifの省略は仮定法で最頻出テーマです。1つだけでもとても重要な省略と倒置が同時に出てくるわけですから、無理もありませんね。

設問は仮定法過去完了If she had taken the teacher’s advice, she could have passed the exam.(もし彼女が先生の忠告を受け入れていたならば、試験に合格できていただろうに)のIfを省略したものです。

 

5 正解 ②

「誰でも」、「いつでも」、「どこでも」、「何でも」のように、例外のないことを表わすとき、英語は疑問詞(why以外)の前にno matterを置くか、直接everをつけます。その中でも、no matter how[however]とno matter what[whatever]がとくに重要です。no matter how[however]は本来動詞に続く形容詞や副詞がhow[however]の後に続くために、語順が変化します。たとえば、You are busy. → no matter how[however] busy you are(どんなに忙しくても)、You study English hard. → no matter how[however] hard you study English(どんなに一生懸命英語を勉強しても)。

ever構文ではmayを使うことがあります。設問の意味は「どんなに小さくても、私は自分の事務所を借りたい」。設問の答えがeven ifですと、語順は変わらず、I’d like to rent my own office, even if it is small.